頼光四天王の1人「渡辺綱」の伝説。平安時代のイケメン武将

源頼光に仕えた四天王の一人、渡辺綱をご存知でしょうか?鬼と闘ったヒーローとして有名なだけでなく、なんと「渡辺」さんの始祖に当たる方だそうですよ。

「渡辺綱」とは

渡辺 綱(わたなべ の つな)は、平安時代中期の武将です。

嵯峨源氏の源融の子孫で、正式には源綱(みなもと の つな)という名前になります。摂津源氏の源頼光に仕え、「頼光四天王」の筆頭人物であり、酒呑童子を退治した逸話や、茨木童子の腕を切り落とした逸話など、鬼退治の豪勇伝で有名な人物です。また、皆さんの周りにも何人かいらっしゃるであろう「渡辺」氏の祖先とされています。

さらに、あの「源氏物語」の主人公、光源氏のモデルとして有名な源融が先祖だということで、綱もイケメンで有名だったそうですよ!鬼退治もできる剛腕なのにイケメンだなんて、きっと当時はモテモテで大人気だったんでしょうね・・・。

「渡辺綱」と茨木童子

渡辺綱と茨木童子の闘いの逸話はいくつかありますが、渡辺綱が茨木童子の腕を切って勝つものの、のちに茨木童子が女性などに化けて腕を取り戻しに来る、というパターンがほとんどです。

京の一条戻橋での闘いでは、美女に化けて道に迷ったふりをした茨木童子が綱に襲いかかりますが、綱は童子の腕を切り落として難を逃れます。

その後、陰陽師安倍晴明から「必ず鬼が腕を取り返しに来るから、七日間、家に閉じこもっているように」と言われたのでその通りにしていると、やはり茨木童子が綱の屋敷に入り込もうとしてきましたが、なんとか阻止していました。しかし七日目の夜、ついに綱の伯母に化けた茨木童子に入り込まれて腕を取り返されてしまうのでした。

渡辺綱が茨木童子の腕を切り落とすのは羅生門という言い伝えもあります。

源頼光以下四天王たちが集まった酒宴の席で、羅生門に鬼が出るという話になり、全員で度胸試しに出かけることになります。次々に羅生門をくぐる面々でしたが、なんと綱の番で鬼に出会ってしまい、格闘の末に腕を切り落とします。綱がもう一度羅生門に行ってみると、そこには女性に化けた茨木童子がいて、やはり大格闘の末に腕を切り落とします。そして、一条戻橋の話と同様、腕を取り戻しにやって来る、という話です。

どちらの逸話にも「茨木童子が女性に化けて渡辺綱に接近する」ところがあるので、綱は女性に優しく心を許しがちな人だったのかもしれません。

「渡辺綱」の刀

酒呑童子を退治した時や、一条戻橋の上で茨木童子の腕を切り落とした時に使用した刀が、源氏の名刀「髭切りの太刀」です。

この「髭切(ひげきり)」は源家重代の刀として伝えられる日本刀で、軍記物語などの説話にしばしば登場します。

歴史としては、平安時代に源満仲が天下守護のために、膝丸という剣と対になる刀を作らせたところから始まります。これは二尺七寸の太刀とされていて、満仲が有罪の者を切らせたところ、髭まで切ったことから髭切と名付けられたそうです。

髭切はその後、満仲の嫡子である源頼光の代に渡辺綱に貸し出され、綱が一条戻橋で茨木童子の腕を切り落とした際に名を「鬼丸」と変えられたそうです。

「髭切」だとなんだか「髭剃り」みたいなので、「鬼丸」の方が断然かっこいいですよね

まとめ

平安時代の鬼退治ヒーロー、渡辺綱。源頼光にとても頼りにされていて女性にも優しいイケメン武将だったんですね。女性に化けるのが得意な鬼の茨木童子と因縁があったのも納得です!同じく平安時代に鬼退治をしていた坂上田村麻呂が天皇に仕えていた征夷大将軍なのに対して、渡辺綱は源家に仕えていた武将。よりヒーロー感が強いように感じられます。

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