立ち上る煙をじーっと見ていると、中から顔が浮かび上がる・・・!妖怪出現!!
こんなことがあったらギョッとしちゃいますよね。そんなとらえどころのない煙の妖怪「煙々羅」について調べてみました。
妖怪「煙々羅」とは
妖怪「煙々羅」(えんえんら)は、鳥山石燕による妖怪画集『今昔百鬼拾遺』に載っている煙の妖怪です。
煙の中に不気味な顔が浮かび上がる妖怪の姿で描かれていて、その解説文では「しづが家のいぶせき蚊遣の煙むすぼゝれて、あやしきかたちをなせり。まことに羅(うすもの)の風にやぶれやすきがごとくなるすがたなれば、烟々羅(ゑんゑんら)とは 名づけたらん。」とあります。この中の「羅」とは、目の粗い薄布のこと。たなびく煙がまるで布のたなびくようなので「煙々羅」と名づけられたそうです。
この解説文は、『徒然草』十九段の「六月の頃あやしき家にゆふがほの白く見えて、蚊遣火ふすぶるもあはれなり」を踏まえているのではないかという解釈もあります。もともとは徒然草から煙々羅が生まれたのかも?
後世では、煙々羅とは煙の妖怪、または煙に宿った妖精で、姿を変えながら大気中をずっとさまよっているものとされています。立ち上った煙の中に、人のような顔の形で浮かび上がるので目撃した人は驚きますよね。
また煙々羅は別表記で「閻羅閻羅」とも。「閻魔大王」に通じることから、燃え盛る地獄の業火というイメージがあります。
煙の妖怪というのは珍しくて他に例がないそうですが、煙々羅についての具体的な言い伝えはありません。よって、石燕による創作妖怪の一つと考えられています。
水木しげるの作品
水木しげるの作品にも煙々羅はたびたび登場しています。
水木しげるの妖怪画では、石燕が描いた絵がベースになっていてかまどから出ている姿が描かれています。
その他、子供向け妖怪解説本「妖怪おもしろ大図解」にも掲載されていて、「煙袋」と「火打石」を体内に持っているなどの創作設定も加えられています。
「ゲゲゲの鬼太郎」の原作や3期アニメでは、炭焼き小屋の煙を食べて暮らしている妖怪煙羅煙羅として登場。炭焼き小屋の主人が亡くなって煙を食べられなくなったため、ずる賢いねずみ男に連れ出されて火事場泥棒の手段に利用される、というストーリーでした。
ちなみに、3期アニメ107話では、暴走してしまった煙羅煙羅を退治するため鬼太郎軍団が奮闘しますが、煙そのものの煙羅煙羅に対して毛針や下駄の攻撃ができずに大苦戦する鬼太郎が描かれています。結局、必殺技を出した砂かけ婆や説得した子泣きによって煙羅煙羅は元の生活に戻ることができ、一件落着となります。
まとめ
あの鬼太郎ですら苦戦した妖怪「煙々羅」ですが、煙の妖怪、という漠然とした設定だけなので、表情や姿などいろいろなアレンジがしやすいようです。近年ではオリジナルデザインの煙々羅がたくさん発表されていますよ。ぜひ探してみてくださいね。