妖怪「送り犬」の怪異。あのnintendo switchでも会える?

女性の敵である「送り狼」の話ではなく「送り犬」の話です。この妖怪は、後ろにぴったりついてくる犬の妖怪。子供の頃、野良犬にぴったり後ろをつけられた怖い経験がある方は想像がつきやすいですよね!でもこの妖怪、ちょっとかわいいところもあったりして・・・。

妖怪「送り犬」とは

送り犬(おくりいぬ)は、日本の妖怪の一種です。東北地方から九州までの各地で送り犬の話は存在します。しかし、地域によっては犬ではなく狼だったり、その行動にも違いがあります。

送り犬は、夜中に山道を歩いていると後ろからぴったりとついてきます。そのまま歩いているぶんには問題ありませんが、何かのはずみで転んでしまうとたちまち食い殺されてしまうので要注意です!転んでしまっても「どっこいしょ」と言って座ったように見せかけたり、「しんどいわ」とため息交じりに言いながら座って休憩のふりをすれば襲われることはありません。

また地域によっては、犬が体当たりして倒そうとしてきたり、転んでしまうと犬の群れがどこかからやって来て襲いかかってくるという恐ろしい話も伝わっています。

その他にも、無事に山道を抜けた後に「さよなら」や「お見送りありがとう」と一声かけてやると後を追ってこなくなるというエピソードや、家に帰ったら無事を感謝して何か一品送り犬に捧げると素直に帰っていくという話もあります。

妖怪とはいえ、ふつうの犬らしい行動に心が和みますね

妖怪「送り犬」の伝説

昭和初期の文献『小県郡民譚集』には送り犬についての伝承が記載されています。

長野県に住む女が、出産のために夫のもとを離れて実家に戻る途中、山道で産気づき、その場で子供を産み落とします。夜になって何匹もの送り犬が集まり、女は覚悟を決めて「食うなら食ってくれ」と言いましたが、送り犬は襲いかかるどころか、狼から母子を守ってくれていたのです。やがて送り犬の1匹が、夫を引っぱって来て妻と子に再会させてくれたという話です。とても優しい送り犬の話ですね。

長野の南佐久郡小海町では、山犬は送り犬と迎え犬に分けられていて、「送り犬」はこの伝承のように人を守ってくれますが、「迎え犬」は人を襲うといわれます。

また、関東地方から近畿地方にかけての地域と高知県には送り狼(おくりおおかみ)が伝わっています。送り狼は、送り犬と同じように、夜の山道や峠道を行く人の後をついてくるとして恐れられる妖怪であり、転んだ人を食い殺すなどと言われていますが、正しく対処すると逆にその人を守ってくれるそうです。好意を装いながら悪いことを考えている者や、女性の後をつけ狙う男のことを「送り狼」と呼ぶのは、この送り狼の妖怪伝承が由来だそうですよ。

さらに、伊豆半島や埼玉県戸田市には、送り犬の仲間とされる送り鼬(おくりいたち)の伝承があります。送り犬や送り狼と同じように夜道を歩く人を追って来る妖怪で、草履を投げつけてやると、それをくわえて帰って行くといわれます。

nintendo switchの「送り犬」

「送り犬」は、同人サークル「七転がり八転がり」及び株式会社シャノンの発売するゲーム「アパシーシリーズ」が送る、妖怪・送り犬が題材のホラーアドベンチャーゲームとしても有名です。

2009年に携帯iアプリに移植され、グラフィックやシナリオが追加されました。

そしてその後の2017年、Nintendo SwitchにDL専売ソフトとして移植され、人気を博しています。

まとめ

犬の妖怪、と聞くと狂暴な犬のイメージを抱きがちですが、この妖怪「送り狼」は意外とかわいらしくて心優しい妖怪でした。こんな犬の妖怪ならちょっと後ろについてきてもらいたいかも?!

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