マジムン、という名称から沖縄っぽいな・・・と感じる方も多いかもしれません。その通り、マジムンは沖縄や奄美地方の妖怪のことなのですが、いろんなマジムンが存在しているようですよ。今回は特に龕のマジムンをフューチャーしたいと思います。
妖怪「マジムン」とは
「マジムン」は、沖縄や鹿児島県奄美諸島に伝承されている悪霊・妖怪のことです。
いろいろな種類のマジムンが伝えられていますが、マジムンに自分の股をくぐられると死んでしまうとされています。ぜったいに股をくぐられてはいけないのです。
龕とは
「龕」とは棺桶を乗せて担ぐための葬具のことを指します。彫刻がされていたり朱で仏画が描かれていたりするおみこしのような道具であり、沖縄ではこの龕や棺桶が妖怪となった話が多数あります。
龕のマジムンは龕の精ともいわれ、龕が化けたマジムンとされます。国頭郡今帰仁村運天のブンブン坂という場所で、牛や馬に化けた龕のマジムンが人を襲ったという伝承が残されています。また、人が死に瀕している家の前でギーギーと音をたてて龕の精が歩き回るということです。
そもそも龕は死体を運ぶための道具ですから、精霊がこの中に籠りやすいとされてきました。よって龕の扱いには様々なタブーが存在しており、使う時は龕屋を宥めながら開け、使い終わって戻す時は悪口を言いながら閉めないと龕のマジムンがまた誰かを連れ去ってしまうとされています。
実在する「マジムン」
沖縄には数々のマジムン伝説が存在します。
赤ん坊の死霊である「アカングワーマジムン」は、よつんばいになって人間の股をくぐろうとします。
また、アヒルの姿をしたマジムンである「アフィラーマジムン」は、片脚のないアヒルの姿で、やはりしきりに人の股をくぐろうとしてきます。
「牛マジムン」は牛の姿をしたマジムンで、沖縄県読谷村では真っ黒な牛のようなものといい、同県島尻郡では龕が牛に化けたものといわれます。(龕のマジムン)
「ウワーグワーマジムン」はブタの姿をしたマジムン。沖縄では、民話にブタの化け物が登場することがとても多いです。
さらに、しゃもじや杓子のマジムンもいたりしてバリエーションの豊かさに驚かされます。いずれのマジムンも「人の股をくぐろうとする妖怪」であり、沖縄では動物や物体などが化けたものとされます。
奄美諸島の一部ではハブのことをマジムンと呼んでおり、ハブはマジムンの中で唯一の実在する生物となっています。確かに、ハブに足元をくぐられることは多いかもしれませんから特に注意が必要ですね。
まとめ
「マジムン」という名前がすでに沖縄っぽいですし、マジムンには独特の伝承が多く残されていてとても興味深いです。股をくぐろうとする特徴など、恐ろしいような恐ろしくないような妖怪なのは、のんびりとした沖縄のものだからかもしれないですね。