犬好きの人は【閲覧注意】妖怪「犬神」誕生の悲しい伝説

「犬神」と聞くと、「犬神家の一族」を思い出す方も多いのではないでしょうか。おどろおどろしい雰囲気の映画でしたが、妖怪の「犬神」もかなりおどろおどろしいエピソードを持っていたのです・・・

妖怪「犬神」とは

犬神(いぬがみ)は、狐憑き、狐持ちなどとともに、西日本に広く分布する犬霊の憑き物の妖怪です。特に、キツネが生息していない四国が犬神の本場であると考えられています。

犬神の容姿は、若干大きめのネズミほどの大きさで斑があり、尻尾の先端が分かれ、モグラの一種であるため目が見えず、一列になって行動すると伝えられています。

さらに、口が縦に裂けて先端が尖っているともいい、実際の犬とはかなり容貌が違うようですよ。

「犬神」の由来

犬神の憑依現象は、特定の動物の霊を利用した呪術が民間に広まったものだと考えられています。

犬を頭部だけ出して生き埋めにし、その犬の前に食料を置いておき、餓死する寸前に首を切り落とすと、犬の頭部が飛んで食料に食いつくとされます。このようにして作られた犬の頭部を辻道に埋めて、人々がその頭上を往来することでさらに怨念を増した霊を呪術として使う方法がありました。

それにしてもなんて残酷な方法なのでしょうか・・・!犬好きな方には耐えられない言い伝えです。しかし、言い伝えだけでなく実際に自称・巫女がこのような方法で作った犬の首を売ったことがあったそうです。

また、妖怪「犬神」は、犬神持ちの家の納戸の箪笥や床の下、水甕の中に飼われていました。他の憑き物と同様に、情緒不安定な人間に憑きやすく、これに憑かれると、胸の痛み、足や手の痛みを訴え、急に肩をゆすったり、犬のように吠えたりすると言われます。

ちなみに、犬神の発祥としては諸説があります。源頼政が討った鵺の死体が4つに裂けて各地に飛び散って犬神になったとも、弘法大師が猪除けに描いた犬の絵から生まれたともいわれています。また、源翁心昭が祟りを鎮めるため殺生石を割った時に、群馬県に飛んだ破片がオサキになり、四国に飛び散った破片が犬神になったという言い伝えもあります。

犬神家の一族

白いゴム製マスクをかぶった不気味な「スケキヨ」や池の水面から飛び出した逆さの足などで有名な映画「犬神家の一族」。

横溝正史の長編推理小説「金田一耕助シリーズ」の一つですが、特にこの「犬神家の一族」は1976年に市川崑監督で映画化された際、「日本映画の金字塔」と言われたほど斬新でスタイリッシュな映像が話題になりました。

犬神家の人たちのそれぞれの陰謀や策略、人間関係が複雑に絡み合い、話の発端である当主の遺言状が引き金となって惨劇が起こされていきます。犯人はいったい誰なのか?何のために殺人を繰り返すのか?金田一探偵の活躍もさることながら、全体的に薄暗く不穏な雰囲気の映像がたまりません。犬神家の家宝である「斧、琴、菊(よき、こと、きく)」がモチーフになっている点もポイントです。

この話の舞台は「那須」ですが、四国に犬神筋の家系が多いようです。犬神の憑きやすい家筋、犬神筋の由来は、犬を使った呪術を扱った術者の血筋が伝承されたものです。犬神筋といわれる家系との通婚を忌み、交際も嫌うのが普通で、実際に婚姻の際に犬神の家筋かどうか調べられるのが習しとされているところもあるようです。

まとめ

なんとも残酷で悲しい「犬神」の由来でしたが、「生き物の怨念の力を利用した呪術」なんて、昔の人はすさまじいことを考えたものです・・・。そしてさらに、映画「犬神家の一族」によって私たちの「犬神」のイメージはいっそう不気味なものになっていますよね(犬神=スケキヨ、的な)。みなさんはどのように感じましたか?

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