妖怪「覚(さとり)」は人の無意識をも予測可能?友達にはしたくない。

もし人の心が読めたとして「あー・・・コイツのこと嫌いだわ~」・・・楽しく一緒にしゃべっている友達がこんなふうに思っていたとしたらショックですよね。そんなことなら読めなくてよかったのに!

妖怪「覚」は人の心が全部わかっちゃうようですよ。「お前、今怖いと思ってるだろう!」そんなこと言われたら驚いてひるんじゃいますね・・・。

妖怪「覚(さとり)」とは

覚(さとり)は、岐阜県に伝えられている妖怪です。人の心を見透かすことができる妖怪としてさまざまな伝承が残されています。

もともとは、鳥山石燕による江戸時代の妖怪画集「今昔画図続百鬼」に記述があり、この中では「玃(かく)」という妖怪が飛騨美濃の山奥に住んでいて、山人からは「覚」と呼ばれるようになった、色黒で毛が長い、人の心を読む事ができる、人が殺そうとすればそれを察して逃げる、などの特徴が書かれています。

また挿絵では、獣人のような毛の長い妖怪として描かれています。

妖怪「覚(さとり)」の伝承

多くの民話の伝承によると、覚は、山中で人間の前に突然現れて、「お前は今恐いと思っただろう」などと人の考えていることを言い当てていき、ひるんだ隙を見て食おうとするとされています。しかし、人が投げた木片や偶然跳ねた焚き木などが覚にぶつかると、思わぬことが起きたことに驚き、逃げ去って行ったとされています。アドリブには弱いのでしょうか。他の古典でも「覚」のような毛むくじゃらの妖怪が爆竹のような音に驚いて逃げた話があります。

また「覚」の類型として、山梨県の「おもいの魔物」や神奈川県の「山鬼」、日本各地に出るサルのような姿の怪物、または山男、天狗、タヌキなどが人間の心を読む妖怪の民話が伝承されており、これら一連が「サトリのワッパ」とくくられています。

この「サトリのワッパ」、「ワッパ」は童子を指すことから、本来は人の心を読む童子の話の意味で「サトリのワッパ」として伝承されていたとの説や、「覚」は山神の化身である童子が零落して妖怪化したものという話もあるようですよ。

人の心を読む

相手の心を読む妖怪「覚」ですが、人間も同じように人の心を読むことができるでしょうか?

実は、人は無意識にジェスチャー(態度)で心の中を示しているので、そのジェスチャーを冷静に見極めることである程度は読むことができるのです。

例えば、目線の位置や手、足の動きなどでわかることが多いと言われているので、ぜひ相手のことをじっくり観察してみましょう。

身近な「心の読み」だけでなく、心を読んだ上で「人を動かす」意味で「人心掌握」という言葉があります。歴史上、このような「人心掌握」に長けて名将と言われた人物として、北条早雲・豊臣秀吉・黒田如水などがいます。また、元首相の田中角栄氏も、人心掌握ができた一国のリーダーとして大変有名ですね。

まとめ

自分の心を全部読まれてしまうなんて「覚」はある意味とても怖い妖怪ですよね。ぜったいに友達にはしたくありません!昔から「無意識」「心」に関して人は怖れを抱いていたのかもしれず、「覚」は、そこから生まれた妖怪なのかもしれませんね。

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