「鬼滅の刃」で鬼の存在感が増しているこの頃ですが、日本三大妖怪の一人、酒呑童子は「鬼の中の鬼」ともいえる元祖鬼!酒呑童子を知らずに鬼を語るべからずですよ。どんな妖怪なのか徹底解説してみました。
日本三大妖怪とは
文化人類学者の小松和彦氏は、もっとも恐ろしい妖怪はどれか中世の都人に聞いてみたら「酒呑童子」、「玉藻前」、「大嶽丸」の名前があがるだろうとしています。
「酒呑童子」は、大江山の洞窟を本拠地として大勢の鬼たちを統率していたと言われます。酒好きの鬼の統領、盗賊の頭であり、京に現れては狼藉の限りを尽くしたと言われています。
「玉藻前」は、平安時代末期に鳥羽上皇の寵姫であったとされる伝説上の人物で、妖狐の化身として恐れられる存在でした。
「大嶽丸」は、鈴鹿山に住んでいたと伝えられている鬼神です。神通力で雲を自在に操り、暴風雨や雷鳴、火の雨などを起こしたそうです。
彼らの首や遺骸は、中世日本の説話や御伽草子など古典文学の世界に現れる架空の経蔵、「宇治の宝蔵」に収蔵されたということです。また、これら日本三大妖怪の遺骸や遺骸の一部は、宝蔵の所有者が妖怪の霊力に勝る神仏の加護を所有している証とされています。
酒吞童子の魅力
酒呑童子の話には、大江山の伝承と伊吹山の伝承があり、出生地にも諸説あります。しかしどちらの言い伝えでも、神の加護を受けて生まれた男児が、やがて鬼となって放浪ののち大江山に住みついたという筋は同じです。
配下の鬼たちといっしょに夜の京の都を荒らし回り、姫達を誘拐してその血肉を喰ったと言われます。酒が大好物でとにかく乱暴者だったとのこと。
そんな酒呑童子ですが、鬼になる前は絶世の美少年だったという説もありますし、異常なまでの才覚を持っていたという説もあります。
また酒呑童子は、人間にとっては「鬼」そのものでしたが、当の鬼たちにとっては気風が良いいい親分で、とても好かれていたのではないでしょうか?そこが魅力とも言えますね。
酒吞童子の部下
酒呑童子の部下として、副首領の茨木童子(渡辺綱に腕を切り落とされ、のちに討ち取られる)、そして大江山四天王として熊童子・虎熊童子・星熊童子・金童子の四人がいます。
大江山四天王に関しては、誘拐されて洗濯女にさせられていた中納言の娘が頼光らに説明していたとされています。
源頼光との激戦
平安京を荒らす酒呑童子たち鬼の一行に困っていた人々。退治せよ、という帝の命を受けた源頼光と藤原保昌は、頼光四天王(渡辺綱、卜部季武、碓井貞光、坂田金時) と共に、神仏の協力を得て山伏を装い、酒呑童子の住処へ潜入します。
疑いを晴らすように鬼たちの仲間であるとなんとか説得し、いっしょに酒を飲むことに持ち込んだ頼光一行。身の上話などを気持ちよく語る酒呑童子に、頼光は鬼の力を封じるという神酒「神変奇特酒」を呑ませ、眠りについた彼の首をはねて討伐に成功したのでした。
切られてもなお、その生首は頼光の兜に噛みつこうとしましたが、仲間の兜も重ねかぶって難を逃れたということです。
まとめ
今や、映画やドラマ、ゲーム、小説、漫画などにさまざまな形で登場している酒呑童子ですが、「鬼の頭領」というラスボス感がたまりません!結局、大好きな酒が原因で退治されてしまいますが、どちらかというと人間たちの狡さが目立つ話となっている気がしますよね。
現在、酒呑童子の首は京都で有名な首塚大明神の塚に埋葬されていて、首から上の病に効果のある神社として知られています。ここでは、酒のお供えがいまだに絶えることがないそうですよ。