「水虎」って虎(とら)みたいなかっこいい妖怪だと思ってたけど

水の虎、という名前の妖怪「水虎」。どれだけタイガー並みにかっこいいのか調べてみたところ、あのカッパに似ているという話が・・・。また、同じ水虎でも中国と日本では違う認識がされているようですよ!

妖怪「水虎」とは

「水虎」とは中国や日本の妖怪両方を指しており、それぞれまったく異なる性格をしています。

中国の妖怪「水虎」は、中国の『本草綱目』に記述され、湖北省の川にいたという水の妖怪。

幼児くらいの体の大きさをしており、頑丈な鱗に覆われているとされています。水に沈んで膝頭を出しているだけなので、ふだんはそれほど恐ろしい妖怪ではありませんが、いたずらしてくる子供には噛みつくことも。

そもそも日本には、この中国の水虎に相当する妖怪はいませんが、日本に伝えられた時に水虎と「河童」が混ざってしまって日本独自の水虎像ができたのではないかと言われています。

このような経緯で、日本では、水虎は河童に似た妖怪、または河童の一種と認識され、川などの水辺に住んでいると言われています。しかし、河童と違って体が大きく獰猛な性格をしており、しばしば人の命を奪うこともあるので恐れられていました。

人間を水中に引き込んで生き血を吸い、魂を食べて死体にして返すという言い伝えや、水遊びをしている子供を水中に引きずり込んで命を奪うという伝承も地方に残されています。

撃退する方法として、水虎に血を吸われた人間を葬らないで、遺体を板に乗せて草で作った簡易な小屋の中に置いておくという方法があります。この人間の血を吸った水虎は、小屋の周囲をぐるぐると回り続け、遺体が腐敗するに従って自分の肉体も腐敗していくそうです。

家に鎌を立てかけておく、麻殻や大角豆を家の外に撒くなどの方法で水虎を避けることができるので、もし水虎が出た場合はやってみる価値がありそうですね。

河童の上司?

なぜ水虎はこのように人間の命を奪うのでしょうか?

水虎が人間を襲う理由として、津軽地方の水神信仰による「水虎様」の伝承によると、水虎は龍宮神の一族で、龍宮において己の名誉を上げるためにやっているのではないか、という説があります。

さらに、実は水虎は48匹の河童の親分、つまり上司なのではないか、という話もあります。河童が人間にいたずらを仕掛けたり悪事を働くのも、自分の地位を上司である水虎に上げてもらうためとされています。妖怪の世界でも人間界の会社のような評価制度が取り入れられているのでしょうか・・・。

「水虎」の発祥

日本の水虎の発祥の一つとして、明治初期に津軽の寺の住職が、川でしょっちゅう起こる水難事故をなくすため、河童に大明神としての神格を与えて祀ることで祟りを鎮めるようにした、という話があります。のちにこの信仰が広がって水虎様の信仰が生まれたと言われています。

まとめ

中国の「水虎」と違い、日本に伝わる妖怪の「水虎」は、人間を襲う意外と怖い存在でした。それにしても、龍宮という会社に勤めている河童の上司だなんて、なんだか面白い設定ですよね!

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