もしも妖怪「絡新婦」と約束をしたなら、必ず守りましょう。

妖怪「絡新婦」(じょろうぐも)とは

妖怪「絡新婦」は蜘蛛の妖怪で、美しい女性の姿で現れるといいます。「女郎蜘蛛」と表記することもあります。

今も存在するジョロウグモ

※写真はイメージです

実際に、「ジョロウグモ」という名前が付いた蜘蛛がいます。夏から秋にかけて大きな蜘蛛の巣を張るよく見られる蜘蛛です。足が黄色と黒の縞々で、ながーい足をもったあいつです。ある説では、和名のジョロウグモは、「女郎」に由来しているといわれています。

妖怪「絡新婦」の伝説

伊豆市

静岡県伊豆市の浄蓮の滝では、「絡新婦」は滝の主であるという言い伝えがあります。

あるとき、男が滝のそばで休んでいると、無数の糸が足に絡まりました。不審に思い、男は近くの切り株に糸をかけると、その切り株はメキメキと抜かれ、滝に引き込まれてしまいました。

その話が広がり、里の人は恐ろしくて滝に近づくことはなくなりました。しかし、よその土地からきた木こりはその話を知らず、滝のそばで木を刈っていたところ、大事な斧を滝に落としてしまいました。木こりは斧を拾いに滝壺に潜ると、美しい女が現れ、斧を返してくれました。そして、「今日この場で見たことを誰にも言ってはいけません」と告げ、姿を消しました。

木こりその後、言いつけを守り、誰にも言わずに過ごしましたが、ある時ついつい、宴会の席で話をしてしまいました。話終えた木こりは、見えない糸のようなもので外に引きずりだされ、翌日、滝壺で死体になって浮かんでいたのを発見されたといいます。

え、怖っ。男を引きずり込もうとしたり、かたや斧を返してあげたり。生かす、生かさないの判断基準って何なんでしょうね。雪女の伝説でもやはり一人の若い男はその場で命を奪われませんでした。

まとめ

恐ろしい妖怪ほど「美女」に化けることができるのでしょうか。妖狐の代表、「九尾の狐」にしても、蜘蛛つながりの「土蜘蛛」にしても、危険な妖怪ですが美女に化けて人前に現れるといわれています。そして、何らかの理由で男性の命を奪わず、逃がすこともあります。全員が全員、無慈悲、獰猛、残忍、というわけではないところが、また魅力。何かしらの約束や条件付きのことが多いようですが。相手が美女であれ、妖怪であれ、大事な局面での約束を守るってのは、とても重要なことですね。命を奪われることになることは、今の時代さすがにないとは思いますけどね。人との約束の重み、少し再認識しました。

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