妖怪「清姫」とは
妖怪「清姫」とは、紀州の道成寺（どうじょうじ）で言い伝えられている「安珍・清姫伝説」に登場する、嫉妬、恨みのあまり蛇に変化した女性の妖怪です。
「安珍・清姫伝説」
| ある時一人の若い僧、安珍（あんちん）が、熊野に参詣に来ていた時のこと。とある宿に泊まった際、その姿をみた宿の娘、清姫が一目惚れをし、安珍に結婚を迫りました。参拝中なので困る、と安珍はいい、参拝が終わったら必ず立ち寄り、意に沿うと誤魔化し、宿を後にしました。その後、安珍は宿には戻らず、清姫は騙されたことに気づき、後を追い、追いつきました。ところが、安珍は喜ぶどころか別人である、と嘘をつき、ごまかし続けようとしたため清姫の怒りは頂点に達し、ついに蛇に変化してしまう。逃げる安珍を再び追い続ける清姫。安珍は道成寺に辿り着き、その梵鐘（ぼんしょう）を下ろしてもらい、その中に隠れます。しかし、清姫はその梵鐘ごと炎に包み、安珍を焼き殺してしまいます。その後清姫は、蛇の姿のまま入水（自殺）しました。 |
結末や、蛇になった経緯など、諸説ありますが、「清姫」の執念がすごいですね。「清姫」は本気だったのに、安珍はその気持ちを受け止めず、誤魔化そうとしました。断るなら断るで、しっかり伝えないといけないですね。ただ、清姫は清姫で殺してしまう、というのはちょっと度が過ぎていますが・・・。
まとめ
男性が惚れた女性に対して執拗に言い迫ったり、ストーカーになってしまったり。また、その逆のパターンもありますよね。それは現代でも変わらない話。悲しいかな、嫉妬心や、想う気持ちが強すぎで、殺人事件になってしまうような悲しい出来事も絶えません。惚れた側の自己中心的な考え方。惚れられた側のNOと言えない性格。そんな関係性がどんどん状況を悪化していきます。
伝説だからといって、他人事と思ってはいけません。自分の想いを告げ、願いを叶えることができなかったとき、皆さんならどんな行動をとりますか？何度もあきらめずアプローチすることは一途で素晴らしいことですが、間違っても想いが強すぎるあまり、蛇にならないよう、注意してくださいね。意中の人とどうしても結ばれないのであれば、それは「縁」がなかっただけのこと。こだわりすぎると不幸な結末になってしまうかもしれません・・・。と、清姫は教えてくれているんだと思います。