「天狗」は妖怪?それとも神様?意外と知らない「天狗」の話。

 

妖怪「天狗」とは

赤い顔。高い鼻。一歩歯の高下駄をはき、山伏のような恰好をした大妖怪。それが「天狗」です。天狗は自由に空を飛び回り、天候を変えるなど、「神通力」と呼ばれる術を使い、悪巧みをしてきました。悪さをする「天狗」は、傲慢で、名利を得ようとする山伏が死後、転生し、魔界からきた「妖怪」とされています。一方、平地に住んでいる人々が山を異界とし、畏れ、山でおきる不可解だったり怪奇現象は妖怪「天狗」の仕業とされてきました。よって、山の神、としての天狗も存在していました。

天狗の種類

妖怪の天狗は一般的な姿としては修行僧の恰好をし、羽があり、飛び回る姿として認識されています。そのうち、鼻が高い天狗を「鼻高天狗」、くちばしのように、口がとがった天狗を「木の葉天狗」または「烏(カラス)天狗」といいます。また、傲慢な尼が転生した天狗を「尼天狗」または女天狗と呼んでいます。

妖怪「天狗」の伝説「天狗隠し」

妖怪「天狗」にまつわる伝説に「天狗隠し」という昔話があります。

ある日、村の子どもが突然姿を消しました。村人総出で探しますが、一向に見つかりません。家族が悲しむ日が続き、四十九日のこと。子供の家に集まった親戚たちの一人が、外の木々を飛び回る子供を見た、というのです。急いで皆で縁側に出てみてみましたが、もう子供の姿は見当たりませんでした。別の日、今度は家族が、やはり子供が木々を飛び回る姿を見かけます。村は大騒ぎになり、捜索が再開されました。やはり、子供は見つからず、皆はあきらめましたが、家族だけは賢明に子供を探します。その姿に「天狗」は心を打たれ、子供を家族のもとに返しました。ある朝、親が目を覚ますと、子供の姿がありました。子供は眠っていましたが、親は大変喜んだとのこと。それから数日間子供は眠り続けましたが、ついに目を覚まします。親の元に戻ったことに気づいた子供は泣いて喜びました。天狗にさらわれた子供がいうに、あちらこちらと連れまわされている間に、神通力を教えてもらったりしていた、とのことです。

人をさらう、というのはなんとも迷惑な話ですが、どうやら食べてしまうということではないようです。この昔話で言い伝えられている子供が特別だったのか、皆に対して面倒見がいいのか、「神通力」を教えるなんて、ちょっといい妖怪にも思えます。ただ人里離れた山奥で暮らすのが、寂しいだけなのかもしれません。空を飛んだり、天候を操ったり、すごい能力を持っているのに、畏れられているわけですから。

神様としての「天狗」

「天狗隠し」なんていういたずらをする天狗もいれば、とにかく妖力の強い大天狗たちは、神として崇められ、それぞれ名前がついている天狗もいます。特に霊峰と言われる山には必ず「天狗」がいるといわれ、人々の信仰の対象となっていました。大天狗として有名な天狗は下記のとおりです。

  • 愛宕山:「太郎坊」
  • 秋葉山:「三尺坊」
  • 鞍馬山:「僧正坊」(鞍馬天狗)
  • 比良山:「次郎坊」
  • 比叡山:「法性坊」
  • 英彦山:「豊前坊」
  • 筑波山:「法印坊」
  • 大山:「伯耆(ほうき)坊」
  • 葛城山:「高間坊」
  • 高尾山:「内供坊」
  • 富士山:「太郎坊」
  • 白峰山:「相模坊」
大天狗がいる日本の山MAP

大天狗がいる山にいけば、きっとより身近に「天狗」を感じることが出来るはずです。是非、行ってみては。(健房もチャンスがあれば山にいって、リサーチします。まずは関東圏からですね。)

まとめ

 

天狗は妖怪か、神様か、という問いに対して、答えは両方です。より大きな力を持ち、人々にその大きな力を認められた天狗が、神として崇められてきた、ということのようです。人間でも同じかもしれません。同じ環境や境遇にいても、周りから慕われる人と、孤立して悪戯や愚痴、悪態を発言することでしか自分に目を向けてもらう方法がない人の違いって何なんでしょうね。

【おまけ】だじゃれコーナー

 

はい、今日も、最後までお付き合いいただきありがとうございました!

 

 

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